ss1086 デジタルール
「テレビもデジタルになってしまったし、そろそろ人間もデジタルにするか」
「ずいぶん安易な発想ね」
「はっ、そう?」
「…、いいからどうデジタル化するのよ?」
「もちろん0と1に変換するんだよ」
「生物はそう簡単には0と1にはならないわよ」
「大丈夫だよ、遺伝子そのものは暗号であって、塩基の申し合わせた相手との組合せと単純な数値でなりたっているだろ、それの派生がアミノ酸であろうとタンパク質であろうとそういう数式で解明出来る物である以上、デジタル化は容易だ」
「ま、まあね、言われてみればそうよね、でも、やれるものならやってごらんなさいよ」

「人間のデジタル化出来ちゃったよ」
「出来ちゃったわね、あたしたちがその第一号なのね」
「結婚しようよ」
「いいわよ」
「子供作ろうよ」
「いいわよ」

「あなた、無駄が嫌いなのね、嬉しいわ」
「そんな事ないよ、ほんとは僕の一生分の精子の数で無駄なく子供を作りたいところだったけど…」
「あたしの一生分の卵子の数の情報に合わせてくれたのね、それでも膨大な子供の数よね、デジタル化したおかげで水子はもちろん、無駄に流す卵子も無くなったのよね、ほんと嬉しいわ。子供作るって言ってもデータ交換するだけなのね」
「そう、お互いのシャッフルした遺伝子データを組み合わせるだけだ。妊娠という工程もいらなくなった」
「ちょっと味気ないわね」