ss1065 バイオ・インダストリー
「ポマト!」
「そう、ポマトだ。半世紀程前に試みて量産に失敗したポテトとトマトの雑種だ。茎にはトマトが成り、根にはポテトが出来る」
「どっちも立派なものになったんだなぁ」
「ああ、もちろん種として確立させた。一代限りではなく、種も作る能力がある。今ではポテトとトマトのような同じ系統の植物どうしだけではなく、遠い種どうしでも雑種が作れるようになって来た」
「すばらしい。これで食糧問題は解決だな」
「そう、食料問題は解決だ」
「まさか、肉のほうも?」
「そうだよ、豚と牛と鳥と魚の雑種も作れるようになったんだ」
「…、まずそうだな」
「大丈夫だよ、組み合わせる家畜を吟味して、細胞が交わる部分が少なくなるように操作して、そして見た目てきにもより美味しくなるようにしている。それよりもなによりもマグロが陸で白人たちに責められることなく生産出来るんだ」
「おお、それは良い。しかし凄いな、哺乳類と魚類の雑種が作れるなんて…」


「ぎゃっっ! まだ尾っぽがピチピチ動いているじゃないか!!」
「生き作りだからな」
「人魚か… 人間の部分を喰ったら共食いだな」