ss1058 カルス
「人間の体細胞からの万能幹細胞が大騒ぎだけれども、植物なんて日常茶飯事にんなことやっているわよね」
「カルス」
「そう、カルスよ、植物を傷付けただけでその部分に動物よりもずっと丈夫で根にも茎にも葉にもなれる万能細胞の塊が簡単に出来ちゃうのよね」
「植物は凄すぎよね、その凄まじい能力を得る事が出来たのね」
「そうよ、人間の万能幹細胞を作るには医者も専門の施設もお金もいっぱいかかるけど、この植物パワーのテクノロジーさえあればなんの苦労も場所も要らないわ」


「痛っ!」
「ほらほら見る見るカルスが出来てゆくわ」
「このカルスからあたしを増やす事が出来るのね」
「ええ、でも面白そうだから切り離さないでそのままそこから成長させてみましょう」
「…」

「あの… アルチンボルトの絵みたいになっちゃったんですけど… 浮世絵でもこんなんあったわね」
「あら、あなたここ」
「あらやだ、このカルスはウイルスに感染しちゃたみたいだわ」
「『えい』ね、癌だけど大丈夫よ、ちょっと違うあなたに変わるだけ」
「そうね、そういうところもこの植物パワーのテクノロジーの嬉しいところだわ」