「ネットワークって、インターネットって粘菌に似ているわね」
「そうね、コアらしいコアがなくて、プロトコルが有るだけで、でも、全体としてスムースに機能しているところなんてそっくりだわ」
「頭脳がなくて単細胞の集団なだけで多細胞生物の様にふるまえるなんて、粘菌ってなんて面白い生物なんでしょう」
「集団になると多細胞生物の様に血管の様なものまで組織して、集団内で容易に移動までしてしまう。そして外界の状態や自分達の状態もメモリーとして長期間保存出来て、しかも共有までする…」
「粘菌って多細胞生物の元祖って事なのかしら? 多細胞生物も脳だけで体は支配していないわ、反射的に危険を避けたり、反射的なおしゃべりとかの場合、脳の命令下に無いものね」
「凄い凄い。環境が悪くなると集団内で生殖細胞になる細胞達やそれを支える茎になる細胞達に変化して行くわ。自分の居る位置だけの情報で他の個体とは違うものに変化して行く。単細胞生物の集団なだけなのに! なんでこんな事が!?」
「地球くんは苦しんでいます」
「…、人間より先に汚れた地球を捨てて宇宙に飛んで行ってしまうなんて…」
「ネットワークって、インターネットって粘菌に似ているわね、他の星に逸早く飛んで行って人間を脱ぐ様に見捨てるなんてね… 暫く前から人間が居なくても機能していけるように進化していたのは知っていたけれど…」
「やだ、このパソコンあたし達人間と同じよ、抜け殻のハードが残っているだけで機能してないわ…」
「インターネットに自分達の生物的な集団生活機能まで依存していたあたしたち人間は、見捨てられて滅びるのね…」