ss1055 嗜好進化
「動物も人間も交尾相手を探すのに年齢や健康状態を診る」
「そうだわね、本能的に『診る』という行為をしているわね」
「ぼくは君の腰のくびれ具合や乳の大きさを目で測るという行為をして、それから肌のはり具合、そして行動に変なところがないかと知能レベルも話す事によって判断してプロポーズした」
「ちょっとロマンが無い言い方だけど、あたしも承認をするのにあんたの身長や体格、知能や行動様式をチェックしたわ」

「動物も人間も全く同じだ」
「そうね、全く同じだわ」
「動物は年齢や健康状態以上に容姿を観る」
「そうだわね、本能的に『観る』という行為をしているわね、特に鳥なんか凄いわよね、クジャクのオスなんか天敵に襲われ易くなるのに、わざわざ死をかけて物凄く無駄なエネルギーを自分の羽に『魅せる』という付加価値として与えているわ、そして生殖になんにも関係ない『歌』の技術もメスから要求されている。餌をとる技術なんて二の次にするくらいにね」
「人間の男もそうだ、生活力が無くてもいけ面は複数の女性を孕ませる事が容易だ」
「人間の女もそうよ、性格が悪くても、健康的で無くても美貌だけで玉の輿に乗れるわ」
「まずいな」
「まずいわね、容姿が悪くても地球環境で生存し易いように動物も人間も進化するっていうのが本来の進化な筈なのに…」

「ところで君…」
「ごめんなさい、お腹むりやりへっ込めてたのよ、あんたのいけ面も整形でしょ?」
「やっぱ君の顔もか… 人間は人工的に容姿を変える様になったから、子供そのものは動物と違い、地球環境で生存し易いよう進化していけるかもしれないな」
「でも… これから産まれてくるあたしたちの子供の容姿を見るのが怖いわ」
「幼児虐待しない様に気を付けないとな」