ss1053 ダイナミック
「細胞分裂で受精卵は全く同じ性質で分裂はしないのよね」
「当たり前じゃない、そんな事したらウシやブタやニワトリやヒトにならないわよ」
「細胞分裂した細胞の中の遺伝子って設計図なわけだから、設計図そのものは変化しないで読み取るところが違うだけなのよね」
「ところが違うのよ、ダイナミックに分裂した遺伝子は変化するのよ、分子が欠けたり増えたり組替えたりをしているわ」
「まあ、それはびっくりだわ、いったいどこからなにが作用してそんな一番重要な設計図までも書き換えてしまうのかしら」
「もちろんそれも基本的には遺伝子でしょうけれど、読む側の能動的思考もあるようよ」
「そんな… だから全く同じ設計図を持ってても双子は指紋や血管の伸び方が違ってしまうのね」
「そうよ、環境である重力や胎内での位置も微妙に影響はするけれども、遺伝子のダイナミックな変化が最も影響するのよ」
「なに? そのマシン」
「うふふ、実はもう完成しているのよ、その分化による遺伝子の変化を人工的に操作する技術がね、あなた妊娠していたわよね、賢い子にしてあげるわ」

「IQが…」
「満足でしょ?」
「でも…」
「脳も頭蓋骨も大きくなるように、分化していく遺伝子をちょっとづつ変えていったのよ、無理なく大きくなったでしょ?」
「大きすぎよ! 立てないじゃない」
「大人になるまでまだまだ大きくして、取り出して、あなたの子にはアメリカに対抗する人間スーパーコンピューターになってもらうわ」
「それが狙いだったのね! 政府の犬!!」