ss1050 大人からの万能細胞2
「偉人たちの再生が遂に始まったな」
「うむ、記憶までも再生されるから人類にとっては最高の時代の始まりだ」
「死んだ時の年齢で再生されるんだな、やはり」
「うむ、知識や思想、技術を詰め込んだ時の細胞が人類にとっては宝だ。若い時の髪の毛や皮膚が残っていても、出来るだけ老齢になってからの細胞を選んで再生させてもらおう」
「そうだな、偉人たちにしては若い体で再生されたいだろうけれど、人類の宝としては偉業を成し遂げた後の細胞が重要だ。その年齢での記憶までもが再生されるわけだからな」
「おまえなにこそこそやってるんだ?」
「いや、ちょっと試してみたい事があって…」


「わしを再生させたのか… わしは癌で死んだ」
「そうです。あなたは癌で亡くなりましたが、その癌細胞は病院や研究所を転々としながらずっと行き続けておりました。癌細胞は栄養さえ与え続ければ死ぬ事はありませんから…」
「ああ、培養液の中で生きて来たわしの記憶もあるぞ、わしはもう300歳じゃ」
「はい、知っております。あなたは特別偉人という訳ではなかったのですが、癌細胞として長く生きた人として有名でした。癌細胞として長く生きて来た経験をかって再生させていただきました」
「ああ、わかっておる。わしを使って様々な実験をしてくれたな、実体験を教えてやろう、じゃが早くしてくれ、脳も体も300歳じゃ」
「はい」