「万能幹細胞の完成で医療は大幅に変わりましたね」
「そうですね、絶滅した動植物も容易に再生出来るようになりました。冷凍されて残っているマンモスは勿論、毛一本でも、そして琥珀になっている蚊の吸った恐竜の血からでも再生は可能です」
「琥珀は貴重ですね、今度は何が再生されるのかわくわくどきどきです」
「大抵の恐竜は再生出来ましたけど、この蚊が吸った血の遺伝子、なんか今までと違った不思議な配列ですよ」
「ほんとね、どんな生物が蘇るのかしら早く見てみたいわ、この赤血球から万能幹細胞を作って早速蘇らせましょう」
「… これわわっ!!!」
「恐竜の時代には人間は居ない筈ですよ!!!」
「アノマノカリス時代の再生班からも全く同じ報告を受けています!」
「なんですって! いったい何時から人間は存在していたのよ!」
「宇宙人よ!」
「そうよ、遺伝子の基本部分が地球の生物とは違うもの、外見は地球人そのものだけど中身が全然違うわ」
「でも、あたしたちの技術でこうして万能幹細胞をこの未知の人間でも作れたわ」
「部分的にこの宇宙の生物は共通暗号部分があるという事なのよ」
「でも、この人間たち、アノマノカリスの時代でも、恐竜の時代でも、現代でも、この地球では宇宙服を着ていないと生きていけないようよ」
「そう… それで地球の生物、おそらく猿に自分たちの情報を組み込んで今の人間を作ったのよ」
「つまりこれがオリジナルの人間。ご先祖様だったのね」
「あたしたちには彼等に合った宇宙服を作れないから、このままこの胎児はホルマリン漬けね」
「せっかく再生させたんだから母星に帰してあげたいとこだけど、その母星が無くなるってんで地球に来たんでしょうからねぇ…」