「現存する人間は、新しいものを徹底的に排除するのね」
「どういう事?」
「たとえば、猿の群れの中でウイルスに感染して突然二足歩行する様になった猿が居たって報道したじゃない。その後どうなったと思う?」
「さあ、調べ尽くされて解剖とかされちゃったんじゃない?」
「それから、二重胎児が出来たらどうすると思う?」
「そうね、分離させようとするわね、正常な状態に戻したがるのが人間よね」
「正常って何よ!? 進化の歴史は突然変異の歴史でもあるのよ」
「そ、そうねそうだわね、わたしたち人間は猿の突然変異だものね、元となった猿とはいまだに99%に迫る遺伝子の相似を有しているものね」
「そうよ、進化の可能性を閉ざしてはいけないのよ」
「それで?」
「それであたしは二重胎児に注目しているの、今でも奇形児としては頻繁に生まれて来るでしょ? だから人類の次の進化は二重体人類だと思うのよ」
「…」
「…、あの、二重体どころか、生まれた後からでも、他人とでも容易に合体出来る様になってない?」
「ボーダーレスウイルスの開発に成功しちゃったのよ」
「しちゃたのよって言われても…」
「人類皆兄弟姉妹って事で」
「あのね…、てか、他の動物とも合体してない?」
「強力ね」
「強力ねじゃないわよ!!!」