ss1022 カラータイマー
「宇宙人ってのは地球には三分しか居られないってのが決まりというか、標準だよな」
「普通の地球人が潜水して耐えられるのも三分くらいだろう? まあそんなところさ」
「その三分の間に地球人との交流をしたり、侵略したりしなければならないんだよな」
「そうだな、交流にしても侵略にしても三分というのはなかなか厳しい時間だろうな」
「でも、時間の概念っていうのは、生きものによってかなり違うんじゃないのかな?」
「そうだな、たった三分で世代が変わる微生物が居たり、細胞分裂する生物も居たり」
「なんか、こんな話をしていたら息苦しくなってきたよ、酸素が欠乏してきた感じだ」
「いやそれは違うと思うよ、僕等地球人の本体の細胞は実際には酸素を必要としない」
「あ、それ聞いた事あるよミトコンドリアは単独固有の遺伝子を持っているんだよね」
「うん、そのミトコンドリアが僕等本体の細胞に寄生、パラサイトしているんだよね」
「ミトコンドリアは膨大なエネルギーを僕等に提供してくれるのは有り難いんだけど」
「そう、活性酸素を蓄積させ、老化と死を僕等に新しく提示した、終わりを提示した」
「さっきの時間の概念の話に戻るけど、宇宙時間の三分というものか有るらしいんだ」
「宇宙時間の三分? そんなものが有るのか? それは地球時間に換算すると何分だ」
『やあ地球人諸君そろそろ宇宙時間の三分だ。我等ミトコンドリアは去るけど良い?』
「げ、僕等の体の中のミトコンドリアが喋り出した! きみらは宇宙人だったのか!」
『そうだよ、あんたら地球の生物はたらたらのろのろ動いててうざったかったからさ』
「待ってくれよ! 僕等はもうきみたちミトコンドリアに頼りきった生活をしている」
『でも、三分は決まりだからねえ、宇宙時間でまた三分たったら戻ってきても良いよ』