「ついにワクチン接種がはじまったわね」
「ええ、今、医療従事者に接種しているから、次はあたしたち妊婦よ」
「え〜と、次は一歳未満の子供とその母親でしたっけ? それから小学生低学年、高学年、中学高校… だったかしら?」
「それにしてもいきなり来月には接種してくれるのね、あたしたちには」
「対応早かったわね、政権が変わったからかしら?」
『大変です。医療従事者、妊婦、高校生までに接種したワクチンに問題がありました。』
「…、なにこのニュース!」
「どういうこと!!」
『ワクチンの中に有害な遺伝子が残っていて、接種された人間に感染し、その人間の遺伝子に入り込んで書き換えてしまう事が確認されています。』
「なんですって!」
「あたしたちどうなるの!!」
『しかし、生命の危険はありません。ただ…』
「ただなによっ!」
「はっきり言いなさいよ!!」
『ただ、ヒト科の別のヒトになってしまいます。かつて地球上にホモサピエンス以外の高等なヒトが多数居た様になってしまいます。外見や能力は同じでも、生殖に互換性はありません。しかも1,000種族ほどのヒト科の別のヒトが一気に出現したようです。』
「…、これからは、結婚するのに同じ種のヒトかどうか遺伝子を確認してからじゃないと子供を作れなくなってしまったのね…」
「…」