ss1017 おおきくなれよ
「人間って歳をとると肌に艶や張りがなくなって、皺だらけになって、醜くなっていくのよね」
「それは仕方の無い事よ、それは誰でも避けて通れない事だわ、他の生物だってそうでしょう」
「そうだけど、なんとかならないものかしら」
『なにを言っているんだいきみたち、つか、なんで皺とかいうものが綺麗なきみたちに出来るんだい? あの皺だらけの人たちは別の人種だと思っていたけれど… あんなふうになってしまうのかい?』
「まあ、いけ面の宇宙人の男ね、そういえばあなたたちは全員お肌すべすべね、一人も老化現象が現れていないわ。そうなのよ、地球人はみんな長く生きているとああなってゆくのよ」
『でも、この地球にもいっぱいぼくたち宇宙人のようにその老化現象とかが起こらない生物が居るじゃないか?』
「ああ、確かに。ウイルスとか、細菌とか、微生物の事ね、彼等も生物だけど、あまり生きものとして認識してなかったわ」
『そうじゃないよ、もっと大きな、きみたちくらいの大きさの全然老化現象しないのが居るじゃないか』
「?」
「?」
『地球の生物は全て同じ遺伝子暗号だから、遺伝子操作でその生物の老化現象を起こさせない部分をコピーして自分たち人間の遺伝子に貼り付けちゃえばいいよ。なんだったらぼくがやってあげるよ』
「まあ、本当! お願いするわ」
「あたしも!」


「まって、もしかしてその遺伝子…」
「宇宙人って物凄くおおきい人も居るのね…」
「今の地球人は百歳近くまで生きるのよ、その遺伝子は…」
『そうだよ、きみたちが魚とか、両生類とか言っている生物の遺伝子だよ』
「だめっ!! あたしたちが百歳くらいになった頃にはビルよりもおおきな体になっているわ!!」
「サンショウウオみたいに生きている間成長し続けるのね! 服とか靴とか作れないわっ!」
『もう、組み込んじゃったよ』
「…」
「…」