「このままでは地球人の未来は…、我々宇宙人の監督責任も問われてしまう…、う〜ん、子供は父親の背中を見て育つものだ」
「そうですよ、今時珍しい三人もの子供の居るこの家庭をターゲットにしましょう。父親ががんばって働いている姿を子供に見せてあげるのです」
「三人とも五歳ずつ歳が離れているのね、今回は仕事の内容が理解できる十歳の長男だけにしましょう」
「そうね、五年毎に下の子たちにも父親の背中を見せてあげましょう」
「はい、ぼく、観葉植物に化けてパパの仕事を見ているのよ」
「うん」
「どうだった?」
「なんか、みんなにこき使われて、へこへこしててなんか、情けないと思った。」
「…、パパまだ若いからね」
五年後。
「はい、次男のぼく、観賞魚に化けてパパの仕事を見ているのよ」
「うん」
「どうだった?」
「なんか、上の人にはごますって、下の人にはむちゃくちゃいじめてた。情けないと思った。」
「…、パパ世渡り上手になって来たのね」
さらに五年後。
「はい、三番目のお嬢ちゃん、社長室のダッチワイフに化けてパパの仕事を見ているのよ」
「は〜い」
「どうだった?」
「なんか、談合するとか、脱税するとか、取引先の社長を拉致するとか、難しい事言ってた。お顔が怖いなって思ったわ。」
「…」
「三人のお子さん、ろくな大人になりそうもないわね」
「次の家庭からは父親も含めて全員コントロールの効くアンドロイドにしよう」
「はい。感動出来るシナリオと演出をプログラミングします」