ss1011 空前絶後の大脱出
「ニワトリ星人って、胴体着陸する度に有精卵を孕ませるのね」
「…」
「この星で生き延びて、あたしたちが乗って来た宇宙船に辿り着いて地球に帰るには、しばらくニワトリ星人の卵や雛に化けていて逃げるチャンスを狙う必要があるわ」
「そうね、ヒヨコになってパタパタ歩いてみたいわ」
「うふふ」
「ほら、かわいいヒヨコの羽毛がいっぱい落ちているわ、あたしたちの体にいっぱい付けましょう。ニワトリ星人は目が悪いみたいだからおおざっぱでも大丈夫な筈よ」
「きゃっきゃっ楽しい〜」

「パタパタ、パタパタ、みんなといっしょにパタパタ、パタパタ。」
「あんたは大丈夫だけど、あたしニワトリ星人に突付かれるわ、痛たた」
「あら、たぶんあんたが拾った羽毛はお隣さんのよ、早くお隣さん家に逃げて!」

「ふう、ほんとだわ助かった」


「ん?」
「夜よ、逃げるわよ」
「でも、ニワトリ星人まだ起きているじゃない」
「鳥目なのよ、ト・リ・目!!」
「… !」
「ヒヨコとかに化けるほどの必要はなかったのよ」
「…」