ss0996 最強の戦士
「万能細胞を利用した技術が確立してきて最近ちやほやされているけれど、体の部分が破壊されたら治さないでなんでもかんでも万能細胞で再生しようって風潮になって来たわね」
「そうね、両生類や原生生物と変わらない発想ね」
「イモリなんか手足や尻尾は勿論、複雑な目まで、失ったら標準仕様で再生しちゃうんだから凄いわよね」
「でも、人間とかの高等生物は修復しようとするのよね、血管や神経を別ルートで破損箇所を迂回して伸ばすとか、物凄く高度な修復を試みるのよね、その細胞同士の連携プレイはほんとに細胞同士で話し合っているんじゃないかってくらい複雑で凄いものだわ」
「でも、大怪我だったりしたら機能は元には戻らないわ、傷口を塞ぐだけ。だから部分再生も出来る万能細胞技術に惹かれるのも無理はないわ」
「そうだけど、その再生された歯とか、手とか足とかって、自分の遺伝子から作られたものとはいえ、産まれ付きのものじゃないじゃない、なんか愛着が持てないわ」
「贅沢ね、親知らずの奥歯と考えれば良いのよ」
「失った手を再生して、今度はその手以外の部分が破損して失って、その手から再生させた体や脳ってどんな感じなのかしら? 今の技術なら可能でしょ?」
「大元の親から貰ったオリジナルな自分が一切無くなっても再生した自分は自分かという事ね? 記憶もなくなっているし、体の筋力は付け直さないとならないし…」
「やっぱり部分修復が良いかな、もっと修復能力を上げられないのかしら、再生よりも修復の方が物凄く複雑で大変だって事はわかってはいるんだけど…」


「修復能力を上げられちゃったわね、しかも物凄い速さでみるみる修復出来るわ、修復だから培った知力や技能も引き継いで、しかも筋肉は破壊された部分を中心にパワーアップするわ」
「だからあたしたちはこうやって戦場に送られちゃったわけよ、最強の戦士として」