ss0994 公園
「少子化とか言いながら保育所が余っている訳じゃなくて、逆に不足しているのよね」
「そうよ、隣町まで行かなければならない人間の病院の小児科や産婦人科と同じくらい深刻なのよ」
「あんたの子、ほんとはもう年長さんでしょ。もう何年待っているのよ」
「二歳から入れたかったから五年近くも待ってたけど…」
「もう小学校ね」
「あきらめないわ」
「え?」
「この子にはちゃんとまっとうな道を歩んでほしいの、血統書付きで高かったんですもの、ちゃんと保育園、幼稚園と進んでお友達と仲良くなれるようになってから義務教育に進ませるわ」
「え?」

「たいきちゃん、一人で公園で遊べるわね」
「あ、あんたの子もう還暦?」
「ええ、あたしにはもう一緒に遊んであげられる体力が無いわ」
「でもあんた、この公園で子供と遊び飽きたでしょ? あんたの子以外にもいっぱい還暦の保育所待機児童が居るけど」
「ええ、倦怠期児童たちね」
「でも捨てちゃだめよ、野良人間になっちゃうし人間の放し飼いは勿論禁止されているし、最後まで責任をもって看取ってあげないと」

 こうして地球人の教育、文明は衰退していった。