「ライオンって、自分の子供を崖から突き落として鍛えるのね」
「日本人のヤンキーの親が自分の1歳にも満たない子供を虐待するのに似ているわね」
「二人ともなに言ってるんだ、ライオンの子殺しはプライドっていう群れを乗っ取った新しいオスボスが前のボスの遺伝子を排除するという正常な行動だし、人間の子殺しとは全然違うよ」
「あら、そうだったの、で、あなたはあたしたちのどっちの子供を殺しに来たの?」
「…、ぶっそうな事を言わないでくれ、君等が双子だったとは知らなかったんだ。つか、僕を騙したのは君等だろう? しかしよく似ているな」
「でしょ、あたしら双子姉妹の子供達、なんと全く同じ遺伝子なんですってよ。この子達別々の親から産まれた従兄弟なのにあたし達と同じ双子という事になるわ」
「えっ! それはありえないだろう、兄弟というのはみんな違う遺伝子部分を両親から半分ずつ貰うからそんな事はありえない」
「その兄弟っていうのは70兆通りほどなのだそうよ、だからこの子達は70兆分の1の確率で生まれた奇跡的な従兄弟の双子なのよ」
「ニュースでやっていたわ、70兆分の1の確率があたしらだけに来たのではなくて、全世界の人達が一つのパターンの性遺伝子しか作れなくなってしまったようよ」
「何世代かしたら人類は男女の差だけのある全員同じ遺伝子になってしまうわ。アダムとアダムのクローンのイブが生きた時代に戻ろうとしているのかしら」
「そんな世の中になったら子殺しは自殺って事になるな」
「…」
「…」