「ソビエト」
「何それ?」
「別に知らなくても良いけど、まあ、その昔アメリカと地球での権力を二分した超大国だ」
「それがどうしたの?」
「我々時間再生局の仕事は、失われた地球を取り戻す事だ」
「そうね。地球は火星の様に死の星になってしまったわ」
「地球をそんな星にしてしまったのは、日本人だという事が判明している」
「常識よ、新米のあたしでも判るわ、超純水技術を完成させてパソコンの頭脳や基盤を微細な埃から守り、製造コストを飛躍的に下げてパソコンを庶民にまで普及させた。勿論戦勝国には優先的に使ってもらい、戦闘機やミサイルの基盤の洗浄をはじめあらゆる大量殺戮兵器の制御部分を造るのになくてはならないものを日本人は造ってしまったわ」
「そう、それから精密機械を作るのを得意とする日本人は、高度成長期に環境に配慮する事無く製造を続けたため『公害』という新しい分野を築き上げてしまった」
「国内で責められたもんだから、公害に緩やかなアジア諸国にそのまま移植しちゃたのよね、水俣病やイタイイタイ病が海外で発生したのに知らんぷり、それから農薬野菜の作り方を教えた張本人なのに現地の人のせいにしちゃうし」
「日本は島国だから工業製品の原料や食材を輸入しなければならないから、輸入輸出による地球温暖化のダントツワーストナンバーワンだったし、輸入した食糧の2/3を毎日捨てていた」
「で、そのソビエトなのね」
「うん、ソビエトに支配された地球の方が死滅してしまう地球にならないという計算があるんだ」
「グレムリンな日本人の管理がアメリカ人よりうまいという事なのね」
「あ、」
「れれ、」
「今の、僕等のドッペルゲンガーかな?」
「今の、ちょっと違うあたしたちよ。まさかアメリカとかいう国に支配されたパラレルワールドから来たのかしら」
「ということは」
「支配者を変えても地球は同じ結果になってしまうって事?」