ss0988 センサー
「生物というのは、センサーの塊である」
「そうよね、目なんか光の分析から形の把握まで詳細にやってるし、皮膚も温度や触感や圧力まで測っているわ」
「そう、それから舌も内蔵も物凄い高度なセンサーだ。舌は皮膚の能力に加えてあらゆる味覚のセンサーを持っているし、内臓器は食物を認識分析して分解して吸収するのに膨大なセンサーを駆使している」
「微生物やウイルスのセンサーだって、かなり高度なセンサーをもっているわよね」
「そう、生物が生きて行く上で、センサーは必要不可欠なものなんだ」
「この子は?」
「自閉症だ」
「センサーが過敏という事なのかしら?」
「自閉症の人の中には感受性が強すぎて物事を深刻に考え過ぎる人も居る。この子はその典型的なタイプだ」
「で、このセンサー増減マシンの登場ね」
「そうだ、しかし、自閉症の子には、センサーを落とせば単純に大らかになるとは限らない。大人は酒を飲んで簡単にセンサー能力を落として気楽になれるけどな」
「逆にセンサー感度を上げて、あらゆる物に感動する様にするってのも手なのよね」
「そうだ、この子にはそれをやってみよう、なんかこの子、奥底に強い意志を感じるんだ」

「やりすぎちゃったわね」
「ミュータントとかエスパーとかを遥かに超える全知全能の神様みたいな大人に成長するとは…」
「あ、宇宙の支配者様が来たわよ」
「俺等が創造してあげたのに…」