「生きるって事は他者を殺すという事だ。
実感はなくとも、我々は食事をするために、肉体を維持するために、なにげに毎日動物や植物を殺している。
そして、命に差別がないのならば、免疫によって細菌やウイルスの命を… 毎日途方も無い数の命を奪っている事になる。
意識しなくとも、人間が何年も生きて居るならば、天文学的な数の命を奪い続けている事になる。
そうまでして生きる価値が俺にあるのか?」
「ないわよ、ないけど…」
「…、だよな、真剣に考えた場合、俺もそういう結論に至ってしまうんだけど、牛や豚の生涯を、なにげに潰してしまった虫の運命をと考えると… 誰もがやっている事、どんな生きものもやっている事として… 俺はどうしたらいいんだ」
「バカ」
「…、だよな、こんな事考える事そのものがバカだよな」
「戦え! あたしら婦女子を守れ!」
「えぇ〜、まあそうだよな、そういうもんなんだよな」
「バカな事考えてねえで現実を見ろ! あたしらは超巨大な外宇宙人の呼吸と共にあたしらの宇宙ごと吸い込まれてしまったんだ! あらゆる免疫システムがあたしらを異物として処理にやって来る!! 戦え戦え! 戦って超巨大な外宇宙人の体をも手に入れて来い!」
「へい、わかりやした」
「あたしら婦女子を守り切った後なら存分にそんな事考えてもいいぞ、身も心もぼろぼろになってもいいぞ」
「へ、へい。そういうもんですよね。逝って来やす」