「一回のビックバンで、泡のように複数の宇宙が造られる事は知っていますね?」
「はい、わたしたちのこの宇宙といっしょに造られた宇宙はどれだけ有るのですか?」
「わたしの計算だと60兆個です」
「まあ、この宇宙内の星の数とか、人間の細胞の数とかと同じ数なのですね」
「そうです」
「まさか、この宇宙は単なる一つの細胞で、星々や星間物質は細胞内組織とか成分とかなのではないですか?」
「わたしもそう考えています」
「それでは、その途方も無い規模の『存在』からしたら、わたしたち人間は観測しきれないほどのニュートリノ以下の無いような、有るようなっていう事になっているのではないでしょうか?」
「そうかもしれませんね」
「それでその宇宙の集合体は、生きものなのでしょうか?」
「さあ」
「生きものだとして、それを育む、それを内包する空間なり構造とかがタマネギの様にずーっと?」
「さあ」
「考えるだけ無駄ですよね」
「ええ」
「ぐれますよ」
「あなたがぐれて地球の癌細胞みたいになって、そして宇宙。一つのセルが癌化して、隣接する幾つかの宇宙も癌化させたら気付いてもらえるかも知れないわね」
「なるほど、わたしぐれて自己主張してみます」