「哺乳類の生殖って、人間の生殖って、今の科学文明が発達した時代には不便じゃない?」
「そうよね、月に一度無駄な血を流し、精神的にも信じられないくらい不安定になる。煩わしいし、物凄く不便なシステムだわ。妊娠したい時期を自分で選べ、そのピンポイントな時期だけにそうなれば良いのに。いえ、そもそもお腹で子育てする事そのものが凄まじく恐ろしく異常な事だわ」
「ほんとよ、なんとかしてほしいものだわ。今は優秀なキャリアウーマンのみに借り腹制度が認められているけれど、審査がまだまだ厳しいし、検査も大変だし謝礼も莫大よ。なんで、なんで長い期間お腹に入れておかないといけないのよっ!」
『え〜、ご町内の皆様、宇宙人が攻めて来ました。強くて勝ち目がありません。宇宙船に乗って指定の避難惑星に行ってください。なお、宇宙船の数は限られています。地球自衛隊の支持にしたがってください』
「…」
「…」
『え〜、宇宙船には出来るだけ多くの皆様を乗せたいと思います。つまり、女性に限らせていただきます。まだお腹が大きくなくてスペースをとらない、妊娠初期のスリムなご婦人を最優先させていただきます。あ、いえ妊娠初期で痩せ型で小柄なご婦人のみにさせていただきます』
「なんですってどういう事!」
『あ、ご質問ありがとうございます。宇宙船内での精子冷凍維持、避難場所での解凍使用は困難で不確定ある事が判明しました。また、双子以上の妊婦とか逆子など帝王切開を要する可能性のある方も優先順位から落とされますのでご了承ください』
「地球自衛隊のあんた、あたしを…」
『今の時点で確実に妊娠初期である事が条件です。不確定な行為は無駄です』
「悪足掻きも出来ないの!」