ss0980 貯金箱
「招き猫の貯金箱ね、まあ、重い」
「えへへ、そろそろ割って使おうと思っているんだ」
「えっ!」
「えって、いつかわその時が来るもんでしょ」
「でも…」
「貯金箱なんだよ」
「化けて出るわよ」
「…」
「だってこれ、貯金箱に化けるという進化の道を選んだ猫よ、人間社会でなんとか生き延びようとしてこんな姿になった生きている猫ちゃんなのよ」
「知っているよ、だからこそ割りたいんだよ、血まみれになって泣き叫ぶ姿を見たいんだ」
「あんたね」
「そういうねえちゃんだって、招き猫の貯金箱いっぱい持っているじゃないか」
「オスメス買ってきて置いて置いたら子猫の貯金箱をいっぱい産んだのよ、それが凄いの」
「まさか」
「そうなの、お金も両親のを足した数だけ既にお腹の中に有るみたいなのよ、見える?」
「ねえちゃん、これはだめだ内臓が変化したお金だ、使えないよ」
「なんですって!! きいいいー」
「あ、ねえちゃんだめだ殺戮はいけないよ、部屋中血だらけになっちゃうじゃないか! やめて!!」
「なめしてみんな三味線屋に売ってやるわ!!」
「ねえちゃん!」