ss0966 正義の味方
「ママ、今度は大丈夫?」
「ええ、水風呂に丸一日漬からせて水も変えたわ」
「怖いから殺してからやろうよ」
「あんたがやってくれる?」
「…」

「また鍋がバタバタ凄い音してるよ!!」
「またしっかり蓋を抑えているのよ、なに涙目になっているのよ」
「ふう、やっと静かになって来た」
「ちょっとだけあくが出ているわね、すくってあげて」
「悪は救っちゃだめだ、こらしめなきゃ」
「なにバカな事言っているの、おたまでこうやってすくうのよ」
「…」

「食べなさい」
「…」
「赤爛れてて美味しいわよ、皮もびろびろに剥けてて食べ易いわよ」
「…」
「あら、目も飛び出して出目金みたいで笑えるわよ」
「…」
「ほら、首を引っ張ると背骨と肋骨が全部綺麗に抜けるわよ」
「…」
「美味しいわよ」
「… 悪を取り除いたから、この地球人達はもう正義の味方なんだ、だから食べない」
「よいわ、今までの食べない理由の中で一番面白かったから許してあげる。でも、ママ一人じゃ食べ切れないからまた裏の畑に撒いて来てね」
「…」
「火星人なら大丈夫でしょ?」
「うん」
「タコって悪魔の象徴なのよ」
「…」