ss0962 全開バリバリ
「暴走族って凄いよな、まさに族というカテゴリーで現代に一族、子孫を繋いでいる」
「これだけ価値観を維持して受け継いでゆくという文化はたいしたものね。しかも全国各地でちゃんと伝統文化として繋いでいっている」
「ああ、まさに伝統文化だ。黎明期なんかはクラクションで音楽を奏でるという粋な事までやっていた」
「やはり、暴走族の醍醐味というのは真夜中に轟音を轟かす事だわよね」
「そうだスピードは関係ねえ、改造車に旗立てて蛇行しながら全開バリバリに轟音を轟かす事だ」
「最近はその轟音、桁違いに凄くなったわよね」
「ああ、物凄過ぎだ。全開バリバリのバリバリもいいところだ」
「全身に響き渡って、地響き、閃光も凄まじく昼間の様だわ」
「宇宙時代になって久しいからな、中古のスペースシャトルが暴走族の手に渡っている」
「今の宇宙船は進化してあんな核爆発みたいな発射の仕方は無くなったものね」
「味気ない。暴走族は迷惑だけど、あの迫力! 火力! 割れまくる音! 体の芯まで達する地響きは感動ものだ。しかも墜落すんのか? ってくらいに蛇行までしてくれる。ハラハラドキドキだ!!」
「でも、宇宙に出てからは情けないわね」
「まあな」
「静かなものね」
「空気が無いし重力も無いからな」
「空気が無いから醍醐味の全開バリバリも出来ないし、リーゼントの子が、スペースシャトルの中でだらしなくふわふわしているだけなのよね」