「これがロリータという培養機か?」
「そうです。全自動です。胎児をこよなく愛す人に開発されました。人間の胚を入れれば、顕微鏡標準装備のロリータが常に位置とピントを合わせ続け愛好者に見せてくれます。大きさによりレンズを自動で変えてゆきます」
「細胞分裂から原始生物…カンブリア期の生物ピカリア…哺乳型爬虫類…そしてホモサピエンスと、人類が母親のお腹で進化の歴史を辿っている姿が見れます」
「このボタンはなんだ?」
「はい、それは進化を止めたいところでそのボタンを押していただくと、甦生フィルターがかかり、ネズミや猿人として出産出来るのです」
「それは凄いな、絶滅した生物を蘇らせる事が出来るんだな」
「そうです。今地球上に生きて居る生物のご先祖様は全て甦生出来ます。現代以前に絶滅してしまって子孫の居ないアノマノカリスなどは甦生出来ません」
「なるほど、それはちょっと残念だな、甦生途中でもう一度スタートボタンを押したらどうなるんだい?」
「えっ!?」
「アノマノカリス… 作れちゃいましたね」
「お客様、ありがとうございます。アノマノカリスと共通の祖先をもつ現代に生きる生物の胚を使ってロリータの環境設定を変えたら簡単に系統の切れた絶滅生物が作れました。高価なロリータですが、お礼に一台差し上げます」
「もらっちゃったぜ、へへへ試してみたかったのは、ホモサピエンス排出の前にもう一度スタートボタンを押すと… 未来の人類ってどんなかな、ちょっと早めに登場してもらったら、現代人は滅ぼされちゃったりして、へへへ」