ss0946 ブリーダー
 オリンポスに住むチターンズは、人間をペットとして飼って居た。
「霊長類の中でも、いや、哺乳類の中でも特異な程に子供を簡単に大量に増やせる人間は我等ブリーダーにとって最高の商品だな」
「そうだな、毎年というか、年子まで作れて、一生の間に優に四十人は子供を生産出来る」
「同じ程度の寿命のゴリラやボノボオラウータンと比べたら、十倍も二十倍も効率の良い商品だ」
「しかし… 血統書付きのニグロイドはともかく、コーカソイド、モンゴロイドの価格は暴落したな、売れ残った人間がネットで一円の価格が付いていたよ」
「ネット販売が普及して、新規ブリーダーが増えたのが原因だ。ブリーダー達の経営が悪化して餌も与えられず、病気も治してもらえない悲惨な人間達がいっぱいだ」
「しかし… 流行の人種や産まれたばかりの子供ばかりを買うという客の嗜好や飽きっぽさもなんとか出来ないものかな」
「所詮彼等人間はペット商品なんだから、それは仕方ないだろう」
「まあな、しかし… ちょっと顔が可愛くなくなったからって、髭が生えてきたからって、円形脱毛症になったからって、簡単に捨てちまうんだぜ、年間十万人もの人間がガス室行きだ」
「仕方が無い。そろそろ遺伝子操作技術を導入するか」
「そうだな、四人の親を持つハイブリドーマを作って縞模様や斑点の肌の人間でも作るか」
「それは遺伝子レベルじゃないだろう。他の動物や植物とのキメラとか、遺伝病を助長させて奇形な怪物とかも作らないとな」
「なんか… 楽しくなって来たな」
「ペットだから誰も文句言わないだろう」