ss0942 究極の愛
「ハサミムシのお母さんって…」
「最後は生きたまま自分の子供に自分の体を食べさせて絶命するなんて… ね」
「究極の愛だね、無償の愛そのものだ」

「それでね、我々地球人を遺伝子操作で作ってくれた宇宙人から手紙が来たんだ」
「種としての寿命が来たから食べに来てくれという事らしいわね」
「その宇宙人たちの体には、これから地球人が宇宙で生きてゆくのに必要な栄養素がいっぱい含まれているらしい」

「どうもご無沙汰しております。お母さん」
「まあまあ、おまえたちお母さんって呼んでくれるんだね、良く来たね」
「はい、では早速食べさせていただきますが、本当によいのですか?」
「あたりまえだよ、お前達も種として熟成して子を創造したら、種の寿命が来て同じように自分の体を食べさせて宇宙から消えてゆくんだからね」
「って、お母さん。あなたたちロボットなんですね」
「そうだよ、わたしたちの親はおまえたちのような生物だった。おまえたちももうロボットを作り始めているだろう?」
「はい。食べるというか、ノウハウを学べという事ですね」
「そうだよ、わたしらの系統のロボット文明は発展しすぎて枯渇停滞したけれど、おまえたちが今切り開いている新しいロボット文明は別系統で発展するけど、わたしらのノウハウは必要だろう?」
「はい、ありがとうございます」
「そしておまえたちの子供たちがまた別系統の生物を創造してくれる筈だよ。その時は…」
「はい、わかっております。お母さん」