「彼等が我々が選び設計した最高の塩基図面を持つアダム君とイブちゃんだね」
「そうです。二人ともコンパクトに60兆個程度の細胞で整える事が出来ました」
「地球という星で自然繁殖という事をさせるわけだね。彼等からどれだけの可能性が生まれるんだね?」
「はい、計算上70兆ほどの組み合わせの子供が作れます」
「一組の男女というものから70兆もの少しづつ違った人間が作れるのか」
「はい、兄弟姉妹という概念で良いでしょう」
「完全に同じコピーというのを捨てて、厳しい地球環境に柔軟に耐えられる様にという事か」
「はい、そうです。ただある程度のイレギュラー確率で双子四つ子八つ子が生まれてしまいますが、問題にならない数です」
「アダム君とイブちゃんから70兆を超える子供を作らせれば、全く同じ塩基図面の子供が確実に生まれ、だぶりだすわけだな。まあ70兆も作れば既に相当数だぶってしまうだろうが」
「はい、そうです」
「仕方が無い。かわいそうだが数十人しか産めない様に調整してくれ」
「大丈夫です。既に開発チームがだぶらないようにと塩基図面に書き込んでくれています」
「なに、それはどういう方法なんだ?」
「『臨期』というプログラムです。死というものを与えました」
「リンゴか…」