ss0938 ゴム人間
「月面を歩くために進化したんだな」
「ゴム人間ね、細胞にスーパーボール級の弾力が有るのよね」
「重力の弱い月で何世代も生きて居ると軟弱な体になってしまう。もはや地球の重力には耐えられない体になっている。地球には帰れないが、月では軟弱な体でもちょっとした力だけで楽に移動出来るようにゴム人間になったんだな」
「この遺伝子情報部分、あたしたち地球人にも移植したら、あたしたちスーパーマンやスーパーウーマンになれるわよ」
「そうだな、月の人間なんか今でも一捻りで殺せるけど、一人拉致して地球に帰ろう」

「地球よ。ふふふ、辛そうね」
「ひどいわ、助けて!」
「あ〜あ全身軟骨なようだな、顔も体もぺったんこだ。耐圧服を着せて水槽で生かしておこう」
「徐々に慣らしていけば耐圧服も要らないわよ。ほら。あら、酸素も殆ど必要としないようね」
「こいつまるでクラゲだな」
「クラゲって美味なのよ」
「…」
「スーパーマンになっても楽しいのは最初だけだし、普段の生活が弾み過ぎて出来なくなるかも知れないから、ゴム人間になるのはやめて食べちゃおうか、骨までまるごと生でいけそうだし」
「賛成!」
「なに言ってるのよ、助けて! あ、いや!!」

「味はいいけど…」
「そうね、弾力が有り過ぎて…」
「うっ 気道に… … うっ うっ」
「ごほっごほっ噛み切れない… あっ喉で膨らむなんて… … うっ うっ」