「ミクロになって人の体の中を探検するツアーか」
「凄い時代になったわね。意外と安いじゃない」
「ほんとだ。あれ、このツアーだけが妙に安い」
「ガイドさんは付かないから? というか、ガイドさんの体の中を体験するようね」
「申し込むよ」
「うん」
「では、よろしいですね」
「ガイドさん美人だな」
「こら」
「うふふ。では、この光線に当たってください」
『ビビビビ』
「こ、これは!!」
「あたしたち粉末になってるわよ」
「そうです。極限まで水分を抜いて凝縮して、アミノ酸単位まで分解させてもらいました。そして錠剤カプセルに入れさせてもらいました」
「飲むのね」
「はい。あたしの腸でカプセルが溶け、あなたたちはあたしの血液中に吸収されます」
「じゃ、ぼくらは血液の流れに乗って全身を旅行した後、最後はガイドさんの尿道を通って出されるんだ」
「うふふ、そうです。高蛋白だからうんちにもなりますよ」
「ちっ。それでちゃんと分離して再生してくれるのよね」
「…」
「え?」
「ええっ!?」
「国の指導による食糧難の時代に開発された技術で、人減らしと食料確保が目的なもので…」
「え?」
「ええっ!?」
「でも、暫くはあたしの活動エネルギーとして、うまくすれば細胞に取り込まれますよ」
「嬉しいなガイドさんのあの部分とかこの部分とかになれるんだ」
「こら」
「うふふ」