「この小さなロッカーには何が入っているの?」
「一つ一つ全てに脳が入っているんだよ。全部で100個在る」
「脳?」
「人類から選りすぐった各分野に秀でた脳だよ」
「なるほど、あたしたちと一緒に移住する星に連れて行くのね」
「そうだよ、彼等の脳は現地の星で最高の文明文化を再現してくれる筈だ」
「宇宙船をコンパクトにするために脳だけにされちゃったのね、かわいそうに」
「まあ、現地で復活出来るからいいじゃないか」
「どうやって復活させるの?」
「じゃ、一つ見せてあげよう」
「あら、ソケット式なのね」
「そう、はめ込んで起動ボタンを押せばすぐに意識が回復する」
「はめ込んでって…」
「そう、君と僕は身体の方で選ばれた最高の素材なんだそうだ。僕等は彼等の脳をはめ込まれる方だよ」
「そんな…」
「この宇宙船に乗り込む前に僕等の脳は取り出され、受け側のソケット器具を埋め込まれる」
「そんな… それであたしたちの脳はどうなるの」
「不必要な物は維持費がかさむから破棄される筈だ」
「…」
「でも、安心しろ、現地の星で産まれて来る子供は確実に僕等の子供だ」
「…、あたしたちの体を使ってそんな行為までしちゃうのね…」