ss0928 擬態
「やあ、地球人さん」
「どうも、宇宙人さん」
「君たちの地球も人間だけになってしまったんだね。他の生きものはみんな滅ぼしてしまったんだね。酷いね」
「え? まあ、ある意味そうなんですけれどもね」
「? ある意味? どういう事?」
「彼等は擬態進化の道を選んだようなんですよ。ほら、あなたが掛けている椅子、木が進化したものなんです。それから自動車に擬態進化した動物も居ます」
「おおっ! なんと」
「タイミングが良いというか、私たち地球人はエコに力を入れるようになり、必死に地球で生き残ろうと人間が使う道具や建造物に擬態進化しだした動植物に遺伝子操作という手を貸し、彼等の進化を早め、私たち地球人は機械や電気を捨てて擬態進化した動植物のほうを選択して全て変えてしまったんですよ。全て」
「素晴らしい」
「ええ、ありがとうございます宇宙人さん」
「素晴らしいよ」
「はい」
「欲しいよ、全部」
「そんな、そうしたら我々は…」
「君たちは、そうだな、功績を評価して我々宇宙人に擬態進化する事を許してやってもいいよ」
「そんな」
「じゃ、便器とかにでも進化するかい?」
「いえ、お仲間にしてください」
「よし」
 こうして地球人も地球から居なくなった。ある意味ね。