ss0925 携帯人型
 長い時を経て、人間は携帯電話そのものに進化していた。
「まあ、いけめん〜 かっこいい〜」
「きみの携帯人型もめっちゃかわいいじゃないか」
「あたしたち気が合うわね」
「そうだね、結婚しようか」
「いいわよ、じゃ、さっそくあなたの精子を送信して」
「うん、それっ!」
「ありがとう。じゃ、予定日までに携帯人型を予約して作っておかないとね」
「気が早いな、まだ男の子か女の子かわからないよ」
「まあ、大変、第二十六次ベビーブームで、世話をしてくれる携帯人型が一万体待ちですってよ」
「仕方がない。まだ携帯電話に進化していない人型を維持している宇宙人に里子に出すしかあるまい。携帯電話として使われる事で世話してもらえる」
「悲しいわ」
「うん、でも宇宙の何処に居ても会話は出来るんだから我慢しよう」
「あっ、あなた早く充電しなさい!!!!」
「しまった忘れてた。まずい、歩いているポーズで停止してしまった!」
「もうおしまいね、そのポーズでは充電出来ないわ。世話をしてくれる携帯人型が止まったらあたしたちは死ぬしかないんですもの」
「この子は… 父なし子になってしまうのか」
「ばか!」