「野菜とかはどうするんだい？　自分のクローンしか食べないなら野菜不足になるよ」
「大丈夫よ、人間はもともと肉食だし、ライオンの様に内臓を好んで食べれば問題は無いわ」
「そういえばパンダももともとは肉食で、体の構造がまだ肉食獣のまんまなのに今は竹だけを喰っている。パンダも肉食だけの元の食生活に戻れる可能性を残している」
「…　肉食のパンダって可愛くないわ」
「そんな事より、自分のクローンを食べるなんて、究極の共食いじゃないか」
「いいじゃない。消化吸収されて、再同化出来るのよ」

「えっ」
「うん、なんでもエネルギー界の総意で決まったそうだよ」
「物質界もそろそろ飽きたから、一旦畳むって…」
「地獄も、天国の階層も、個も無くなるよ」
「個も無くなる…　二つ以上の意識が無くなるわけだから、愛も無くなるという事なのね」
「元の一つのエネルギーになる。一つの意識に戻るわけだから、もちろん愛という概念も無くなるよ」
「でも、一つの意識に戻ってそれを維持するなんてもはや難しいんじゃない？」
「う〜ん、　きみの様にナルシシズムの愛が芽生えたんじゃないかな？　再同化されるほうの気分はどう？」
「…」