ss0870 人間とは
「人間とは」
「なにを改まって」
「人間とは、星から星を渡り歩き、死滅させてゆくウイルスのような存在である」
「まあ、そうだろうな、認めるよ」
「人間とは」
「だからなんだよ」
「人間とは、宇宙にとって百害有って一利無しの存在である」
「まあ、確かにそうだろうな、認めるよ」
「人間はなんのために生きなんのためにこの宇宙で存在を許されているのだろうか?」
「それはたぶんこの宇宙そのものが有っても無くてもどうでもいいような空間だからじゃないのぅ? 意味もなにも無いと思うよぅ」
「…」
「どうでもいいような空間だからじゃないのぅ?」
「んな事言ったらもともこもなんにもないではないか」
「だってぇ、意味を求めるんだもん」
「空間、時間の存在理由は必要なんだよ。なんのこだわりもルールも無いなんて耐えられないだろう」
「そんなの関係ねぇ」
「…」
「生きているから、生きて行きたいだけじゃいやなのかい?」
「…」
「本能だけで生きていっているわけでもないだろう?」
「いや、ちょっとなにかにすがってみたかっただけさ」
「本物のウイルスの存在理由ってなんだろう?」