ss0857 遺伝子組み換え
「生物が太陽の下で生きてゆく限り、DNAは破壊され続ける」
「はい、太陽光線には紫外線が含まれています。DNAは紫外線に弱くずたずたに引き千切られてしまいます」
「そうだ、しかし生物は太陽の下で生きてゆく。そのために生物はDNAの傷を治癒し修復するDNAを正しく繋ぎ合わせ直す酵素を持っているのだ」


「こいつあ物凄くアクティブですね」
「ああ、我々の手で機能強化されたDNA修復酵素だ」
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。しかしこれは凄い、DNA修復どころではなく応用でDNA組み換えも自由だ。破損した永久歯や失った手足をも修復復元出来てしまうとは… それを意思で望むだけで良い」
「しかしさすがですね、自ら人体実験されていて、人間を、自分を維持しておられる」
「いや、意外と簡単だよ、こっちの動物実験中の動物は意志が弱い… というか元が動物だからな」
「こいつあ太陽にさらす毎に色々な生物に変化しますね、先祖返りとか無意識にしちゃうんですね」
「先祖返りならまだ良いが、なんだか得体の知れない怪生物とかにもなってしまう事もあるな」
「意思の力でどんな生物にもなれるのですか?」
「ああ、やってみようか、カーテンを引いて太陽光線をわたしに当ててくれ」

「…」
「どぅおぉ〜ん?」
「女性願望があったのですか… うっ、ぼく好みです」

「あら」
「どうしました?」
「元の自分を、学者の自分をイメージ出来ないのよ、幼稚な子供にはなれそうだけど… 前の記憶も薄れて来たわ」
「意識は上位互換性のようですね、そのままを維持してください」
「はぁ〜いですぅ」