「ミジンコって、全てみんなシングルマザーなのね」
「そう考えるとそうね、自分のクローンを産み続けるわけだから、100%全てみんなシングルマザーだわ」
「母子家庭なのね」
「そう、みんな母子家庭なのだわ」
「子供も孫も曾孫もみんな同じ顔しているのね」
「クローンだからね、たぶん口喧嘩とかもないわ、みんな同じ考え方をしているんでしょうからね」
「男が欲しくなるって事はないのかしら」
「冬が近付くとオスを産んで、交尾するわ。冬を越す卵を産むためにね」
「まあ、その季節の世代のミジンコたちはラッキーね、エッチできるのね」
「春、卵から孵るミジンコは、パパやママの顔を知らない新しいシングルマザーたちになるのだわね」
「つか、ミジンコって一年で何世代も繰り返すけど、みんなクローンだから一年が一生と考えてもいいんじゃないかしら」
「そうね、あんな小さな体で一年生きるって事なのよ。素晴らしいシステムだわ」
「なんだ、ミジンコって、シングルマザーじゃないのね、同情して損した」
「あんた、同情してたの?」
「ところで人間も同じようにできないかしら?」
「いいわね、記憶も引き継いでもらって何世代も続ければ何千年も何万年も生きる事ができるという事よ」
「でも、何千年も何万年も女だけの世界で生きるのよ」
「そうなんだけど、男が産まれる節目に産まれると、『死』を受け入れるという事になるわよ」
「いいじゃない、そんなに長く生きたんだから…」