「やればできるじゃないか」
「やりましたね、地球上に生きる全ての人間の数分のワクチンがやっと用意できました」
「素晴らしい、六十億人分のワクチンを用意できたわけだな」
「そうです。新開発の強力な基幹ワクチンなのでほとんどのウイルスに有効です」
「素晴らしい。これでどんなウイルスが現われても人類は滅びる事は無くなったんだな」
「そうです。人類は安泰です。指定医療機関も、医師、教育された看護師の数もじゅうぶんです」
「素晴らしい。ワクチンが有るだけでなく、それを速やかに運用できるようになっているんだな」
「そうです。あらゆるシュミレーションをおこない、あらゆる事態に備えて、定期的な訓練をもおこなっています」
「素晴らしい。完璧じゃないか」
「そうです。完璧です」

「なんか、つまらないな」
「そうですね」
「これだけ完璧に装備して、なんにも起こらないなんて」
「そうですね、ふざけてますね」
「やるか」
「はい」

「やばい、おれ、感染した」
「パンデミックになっちゃいましたね」
「基幹ワクチン効かないじゃないか」
「はい、自然に発生したウイルスでわなくて、うちで手を加えたウイルスだからかも知れません」
「やばいな」
「はい、消防隊員が活躍したくて自ら火を点けるって事を我々はやってしまいました」
「人類は滅びるのか？」
「はい」