「え、たいやきくん、きみ一人だけで地球という星に命を芽生えさせに行くのかい?」
「ああ、そうだ、絶対成功させるぞ」
「たった一人で大丈夫なのかい?」
「大丈夫さ、これこれ、これさえ有れば簡単さ」
「たいやきくんのたいやきセットか、そんなんでほんとうに大丈夫なのかい?」
「ばかにしないでくれ、大丈夫さ、たいやきの型はもちろん、かぞえきれないほどの型をもって行くよ」
「なるほどそうか、でも中に入れるものはどうするんだい」
「生命の元なんてみんな同じさ有機物を入れて、二重螺旋の塩基のあんこをいれて終わりさ、後はプレスして焼くだけだよ」
「そんなことしたら、みんな同じ味になっちゃうじゃないか」
「いいんだよ、地球の生きものは全て同じ二重螺旋の塩基のあんこ仲間で、それだけで統一するんだ。地球の生きものは全て同じ家族にするんだよ」
「近いものとか、同じ物ほど喧嘩するものだよ」
「いいんだよ、ゲームでも遊びでも争いがなければ面白くないじゃないか」
「そんなに型を持って行っても、争いが多いんじゃ、一種類か二種類の生きものしか残らないかもよ」
「いいんだよ、あんこはみんな同じなんだから、どれが残っても同じさ」
今川焼きでも、金太郎焼きでも、たいやきと変わらないものである。