ss0835 ギンブナ
「ギンブナって、処女懐妊するんだって?」
「そうよ、きっかけの精子はドジョウでも、カエルでもなんでもいいのよ」
「それでかってに卵が細胞分裂をはじめて稚魚になってしまうなんて、えらいいいかげんな生物だな」
「男なんて誰でもいいって事よ」
「基本的に単為生殖だから、全部メスって事だろ?」
「そうよ、魚なのに単細胞生物やミジンコなどの単純な構造の生物と同じように子供はみんな自分のクローンだからメスよ」
「でも、たまにギンブナのオスが発見されたとか言ってニュースになる事があるじゃないか」
「そうね、ミジンコも冬になる前や水質環境が悪くなるとオスを産んで交尾して冬眠出来るタイプの卵を産むし、単細胞生物も遺伝子の枯渇を防ぐために異性を産む事があるわ」
「イエスキリストって、かあちゃんのマリアが処女懐妊して生まれたんだったよな」
「そうよ、大工のとうちゃんとは血縁関係はないわ、普通は女性が生まれる筈なのに男性として生まれたのね」
「現代でも人間の処女懐妊が時々ニュースになるけど、みんな女性でクローンなのにイエスキリストは男だったんだね」
「日本ではギンブナのオスと比較されて報道されるからキリスト教の人はむかついているわよ」
「ところでちみ、シングルマザーになったんだね」
「男の子よ」
「円盤に拉致されて宇宙人にやられちゃったとか以前うそこいてたけど?」
「うそじゃないってば、だから、きっかけの精子はドジョウでも、カエルでもなんでもいいのよ」