ss0824 我等4
「まいう〜」
「ほんとおいしいわねこのお肉」
「うん、猟犬に追い回された獲物の肉は最高にうまいんだよね」
「さう、筋肉を激しくしなやかに動かすために様々な酵素タンパク、ホルモンが出るからね、酸素を送る血液もさらさらで滞らないように、そしてなんと、怪我をしても血が固まらないくらいまでに血液凝固システムも抑えられるのよね」
「昔の武士同士の戦いで切られたら、血が霧のように浮き上がるって理由はこれなんだよね」
「ほんとおいしいわねこのお肉」
「この肉はそうして作られた肉なんだから最高においしいのはあたりまえだよ、やわらかいだろう?」
「ええ、もう、口の中でとろけるわ」
「食料調達局『ブードゥー』が我々エリートだけに配給してくれる最高の肉だからな」
「でも、大丈夫かしら、牛が自分と同じ仲間の牛のこっぷん飼料を食べると狂牛病になるじゃない? あたし達もクル病とかにならない?」
「なるかもしれないけど、我等はそれよりもっと酷い事をしているからね、そうなっても仕方ないよ」
「さうね、サヴエジが暴行されている時、天然の脳内麻薬物質を抽出するわけだから、その天然の脳内麻薬物質の恩恵を得ず、ダイレクトに凄まじい痛みやストレスを感じて、心臓はバクバクバックバックして、恐怖のあまり死んで…」
「そう、そして我等の高級食材になるんだよね」
「我等の犠牲は我等なのよね…」
「いいよ、そんな事どうでも、テレビ点けてくれよ、今日はすごい怪獣映画をやるんだ」
「『ソドムとゴモラ』ね、まったく男っていくつになっても子供なんだから」