「モルモットか…」
「さう、でも脳の能力は落としていないわ、この『脳たち』にはね」
「逆にもっと能力を高めて脳コンピューターにしようというんだね、まあ彼等も僕等の優雅な生活のために犠牲になってくれるわけだ」
「よく、コンピューターの反乱とかいうストーリーが考えられるけど、それは有り得ないわ、だって、彼等はサバン状態の脳にしてしまっているんですもの」
「そうだよな、機械のシーピーユーと同じ記憶のさせ方だから、考えるという事は擬似的にしかしないんだよな。 燃料は…、砂糖だけでいいのか」
「脳には脳関門があって、特定の栄養素しか請け付けないのよ」
「う〜ん、でも、せっかく脳でコンピューターを組むんだから、なにかもっと創造的なデータを出して欲しいものだな」
「さうね、もちろん機械のコンピューターよりもずっと創造的なデータを出してくれる筈よ、二歳までの脳神経の茂らし方で全ては決定するわ、政治経済に特化した脳コンピューターも、複雑な交通網の制御に特化した脳コンピューターも、各階級の人間の教育プログラムや支配のテクニックに特化した脳コンピューターも、二歳までの脳神経の茂らし方で全ては決定するわ」
「そうだな、各分野で機械のコンピューターよりもずっと創造的で効率の良い制御をしてくれるだろう。しかし」
「芸術の分野ね」
「ああ、幾何学的なアートやフラクタルなアートばかりだとつまらないじゃないか」
「大丈夫よ、これを少し砂糖に加えるの」
「アルコールか…」
「ええ、アルコールも脳関門を通るのよ」