「クローン技術の確立で、インストール作業が必要になった」
「そうですね、いきなりハードのクローンのほうは成人として作れるようになりました。でも、白紙の脳なのでまず、基本の人間というものをインストールしなければなりません。そして、国や地域で生きて行ける言語やルールもインストールしなければなりません」
「そうなんだよな、この作業がけっこう大変なんだよな、パソコンと同じで、人間というもののインストールがＯＳのインストールにあたり、そして言語やルールのインストールはアプリケーションソフトといったところだ」
「場合によっては若干の生活記憶もインストールしなければなりません」
「ＯＳは人間以外の動物のものも開発中だ」
「必要ないんじゃないですか？　動物は本能だけでも生きて行けるものも多いでしょう？」
「そうなんだが、お客の需要があるんだよ、特に犬や猫のＯＳは急がされている」
「まさか、そのＯＳを犬や猫のクローンにではなく、人間のクローンにインストールしようとしているんじゃ!?」
「ああ、金持ちの考える事はおそろしい。奴等は従順でよけいな事を言わないペット人間が欲しいようだ」
「しかも発注クローン個体は美少女クローンばかりですね」
「金持ちはビジネスにはクールで、しかし深い愛の人間関係とか友情とかは嫌う傾向にある」
「かわいそうに、この出荷準備中の美少女クローンたちは、犬や猫のＯＳをインストールされて、ペット奴隷にされるわけですね」
「俺も一体注文しているんだが…」
「実はぼくもです」