ss0795 サイボーグ
「彼らが楽器を演奏するために自ら機械人間、サイボーグになった者たちですね」
「そうです。口に笛をつけた口笛人間、目に口を付けた目は口ほどにものを言う指揮者、腹を太鼓にして手を撥にした太鼓っ腹人間、髪の毛を弦にした琴人間…」
「すごいですね、ほんとうにみんな自ら志願してサイボーグになったのですね」
「ええ、まあ」
「え?」
「楽器人間以外にもいろいろサイボーグは居ますよ」
「足をジェットエンジンにした飛行少年…、足をハイヒールと一体化し、手を鞭にした女王様…、血圧が気になる人にいつでも計測値がわかる血圧計と一体化した血圧人間」
「すごいでしょ」
「博士、ほんとうに彼らは自ら機械人間、サイボーグになった者たちなのですか?」
「ええ、まあ」
「え?」
「君はそうだな、手をマイクにしてあげよう」
「え?」
「最近の若い者は物を大切にしないからね」
「うわっ何をするんだやめろ!!」
「一生物だよ、大切にしな」
「ぎゃ〜!」