「植物の細胞には、動物の細胞には無い細胞壁という便利なものが有るわ」
「知っているわよ、細胞壁が有るために動物のような骨が無くてもちゃんと形をなしていられるのよね」
「そうよ、キャベツでもニンジンでもぐにゃぐにゃにならず、ちゃんと形を維持しているわ、しっかりしたものよ、動物はこうはいかないわ、木やヤシの実なんか物凄く固くなっているわ」
「その代り動けないけどね」
「細胞壁を形状記憶合金にしたらどうかしら」
「! 凄いわ、それ、良いアイディアよ、さっそく作りましょう」
「温度や湿度、液体やガスによって様々な形に変えられる万能形状記憶合金を使ったわ」
「まあ、気張ったわね、それでどんな記憶を持たせたの?」
「細胞群の中心にリモコンで動くサーモサットを置いたの、見てて」
「わあ、凄い! チーター、翼竜、巨人…、どんな形にも骨が無いから変形させられるのね、しかも細胞壁が金属だから丈夫だわ」
「微調整で自由に歩かせたりも握手したりもできるのよ、この子は…、いけ面でしょ?」
「よかったわね、研究一筋のあなたでも彼氏ができて、あらっ! やわらかい手」
「凄いでしょ、細胞一つ一つは硬いんだけど、高度な物質干渉プログラムで制御させているから、細胞の移動によって柔らかい手とかも演出できるのよ」
「まあ、凄すぎだわ、あなたはあなたの自由になる彼氏をやっと手に入れたのね、どんな欲望にもこたえてくれるのね!!」
「おいおい…」