「カイメンって、ガーゼにくるんで押しつぶして、こすっていう作業をするだけで簡単に細胞がばらばらになるんだよ」
「カイメンって、ウミウシさんのことだよね」
「そうだよ、濾過された細胞をきれいな海水で飼育すると、細胞はだんだん集まり始めるんだ、その細胞塊を顕微鏡で見ると、なんと、ちいさなウミウシさんになっているんだよ」
「すご〜い、細胞の一個一個がちいさなウミウシさんになっちゃうんだ〜」
「再生能力もすごいんだよ、条件さえ整えてあげれば体を再構築しちゃうんだ」
「人間もそうなの?」
「う、う〜ん、そ、そうだよ、もちろんそうさ、肝臓とか腎臓の細胞をばらばらにして、条件の良い培養液にしたしておくと、細胞どうしが再びくっついて肝臓とか腎臓とかになっちゃうよ、今は高等生物でも再構築技術はかなり進んでいるんだ、まだ若い個体でしか成功してないけどね」
「再構築したら、きれいに並び替えられて病気が治っちゃったりとかする?」
「そういう可能性もあるね」
「移動手段に使えるよね、狭いところを通ったり、遠くの星に行ったりとかするときにさ」
「そうだね…」
「地球の周りになんか細胞のようなものがいっぱい集まってきているって、ニュースでやってたね」
「そうだね…」
「一つのおっきい宇宙人になるのかな、それとも一個一個全てみんなちっちゃい宇宙人になるのかな」
「そうだね…、どっちにしてもゆゆしき事態だよ…、病気治療のためだといいんだけどね」
「今の地球はあんましきれいな条件じゃないよ」
「…」