ss0778 分化大革命
「豚肉を高級牛肉と偽って売る」
「ああ、俺も騙されて食べた事があるよ、全然気付かなかったのがまた悔しいよ」
「もうそんな事は無くなるぞ」
「そうだな、我々はついに革命を起こす! コピー分化だ」
「分化大革命だ!」
「そうだ、分化大革命だ!」
「受精卵は一つの細胞だ、そして二つになり、四つになり、八つになりと、どんどん分化してゆく。だが、分化増殖した細胞はだんだんと個性を持ち、個々の細胞は最初の受精卵とはかけ離れた性質の存在になってゆく」
「そうだな、もちろんそうなってくれないと高級牛とかになってはくれない」
「初期の分裂胚を酵素でばらしてやれば双生児を作る事も可能だが、大量に処理するとなると物が小さくなってゆくだけに手間がかかって大変だ」
「そうだな、そこで我々はいくら細胞が増殖しても最初の受精卵の状態を保つ培養液を開発した。この栄養豊富な培養液では、増殖しても増殖前の大きさになり、再び個性を持たせない複製増殖を始める。しかも自然にばらばらになる。まるで単細胞生物かのように増えていく…」
「これを擬似的妊娠状態にしておいたメス牛の子宮に入れてやればいいだけだ。培養液の影響を受けなくなったとたんに正常な個性化の分化が始まる」
「牛肉が安くなるぞ〜」

《こいつら、自ら良いものを作ってくれたな》
《ククク、味の良い人間だけを大量生産できるぞ、他のまずい人間はみんな殺してしまえ!》
《生かしておく理由が無くなったからな》