ss0775 偉大なオカマヘム
「まあ、かわいい、あくびしてる〜 胎児の赤血球のヘモグロビンって、成人のヘモグロビンより酸素結合力、親和力が強いのよね、胎盤を通すから強力じゃないといけないからなのよね」
「そうね、凄いわよね、成人のとα鎖は同じだけどβ鎖のアミノ酸の並び方が10個だけ違うだけなのよね、胎児のはγ鎖だったわね」
「これって使えないかしら… 産まれて大きくなってゆくと体の必要なところに酸素を円滑に廻して与えないといけないから、地球では酸素結合力は今までどおりでいいけど、酸素が貴重な深海とか宇宙とかだとこの胎児のヘモグロビンは威力を発揮するんじゃない?」
「そうね、そうよ、成人に使うにはいろいろ細かい点をクリアーしないといけないけど、初歩的な遺伝子操作でなんとかなりそうね」
「そうそう、あと逆のパターンのものも作っちゃいましょうよ」
「逆? ああ、鎌形赤血球症ね、彼らはちょっと運動しただけでも酸素不足になっちゃうのよね、数は正常だけど、赤血球が鎌形に潰れたように小さくなってしまっているのよね、正常な赤血球は扁平で丸い浮き輪のような形なんだけど… でも、彼らのようにするのにどういう意味があるの? たしかにマラリアには強いけど、もうそんな病気は撲滅して地球上には無いわ」
「肉体労働階級じゃないなら、鎌形赤血球症の人は宇宙生活での貴重な酸素をあまり消費しないで済むわ」
「なるほど、そうね、そうだわ、両方ともちゃちゃっと作っちゃいましょう!」
「人間の宇宙適合進化なんて待ってられないものね!」