「なんでもかんでも0と1に置き換える時代になったな」
「そうね、アナログの時代は終わってみ〜んなデジタルになったわ」
「なんか、さみしくないか?」
「全然。すっごく便利になったじゃない。あなたの好きなカメラも、ビデオも、テレビも、音楽も、手紙も、本や新聞も…」
「そうだけどさ、なんか味気なくなったような」
「なに言っているの! 従来の方法でやっていたら地球はとっくに滅びているわ、フィルムの製造と現像処理でどれだけ地球を汚してきたか知ってる? かわるがわる毎日発刊されていた週刊誌でどれだけの森が無くなったと思っているの?」
「まあ、それを言われてはおしまいだけど…」
「でしょ、これからも地球はどんどんデジタル化されていくのよ」
「0と1、有るか無いか、白黒はっきりって… そんなんでいいのかな」
「まだ言っているの、いいのよ、便利で、地球にやさしくて最高じゃない」
「でも…」
「しつこいぼくちゃんね、あなたのこと、きらいになってもいいの」
「え!!! ご、ごめんぼくが悪かった、ぼくが悪かった! 見捨てないでくれ!! ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん」
「うふふ、もういいわよ、あなたが好きよ」
「ちょっとさ、かまってほしくてさ、ふ、ふう」
「うふふ、かっわい」
彼も、パソコンのカウンセリングソフトに出てくるバーチャルな女の子に惚れている普通の男の子だった。